Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

政治

「学問の自由」を考える

少し前(2005年)のことになるが、ハンス-ハーマン・ホップが大学当局から不当な攻撃を受けたという話(「思想警察との戦い」)。簡単にことの発端を整理しておこう。ホップは、自らの講義のなかで「時間選好(Time preference)」の概念を説明しようとした際…

誰がより無責任なのか?

少し前(2005年)になるが、Econlogのブライアン・カプランの記事「誰がより無責任なのか?」が興味深かったので紹介しておきたい。ここでカプランは、"福祉改革"(welfare reform)が唱えられる背景のひとつである10代のシングル・マザーについて、大部分は…

書評:集合住宅デモクラシー

2006年2月の文章。前年に出版された竹井隆人『集合住宅デモラクシー』を取り上げている。例によって若干手を入れさせてもらった。竹井さんの新刊もそろそろ読んでみたいものだ。 いくつかのサイトで「昨年のベスト本」のような企画をやっているのを見かけた…

マルコムXを称賛する

スパイク・リー監督作品の『マルコムX』は、ぼくの好きな映画の1つだ。マルコムXは、1960年代ブラック・ムスリムの組織であるネイション・オブ・イスラムのスポークスンとして活躍した(その後脱退)黒人解放運動の指導者の1人。かれが有名なのは何よりもそ…

同性婚に反対する

これも2006年2月に書いた文章。文脈を補強するために若干手を加えている。当時はちょうど大学卒業直前で時間があったためか、ヒマを見つけてはあれこれ書いていたのを思い出す。トマス・ソーウェル「同性婚の"権利"」。ソーウェルによれば、婚姻(marriage)…

アイン・ランドの正しさ:『利己主義という気概』を読む

Ayn Rand, The Virtue of Selfishness : A New Concept of Egoismの邦訳。サンデルブームもあって、日本でも「リバタリアニズム」という言葉がようやく知られるようになった。本書の著者であるアイン・ランドはリバタリアニズムの誕生に多大な貢献をした作家…

国際社会とアナーキー

無政府主義の可能性をめぐる議論のなかでしばしば用いられるアナロジーに、国際関係は(世界政府が存在しないという意味で)アナーキーなのだから、国内政治においてもアナーキーの実現は可能だろう、というものがある。今回は、この点を批判的に考察したタ…

池田信夫さんとリバタリアニズム

前々回のエントリでブライアン・ドハティの『ラディカルズ・フォー・キャピタリズム』を取り上げた(「ラディカルズ・フォー・キャピタリズム」)。参考にしようと関連する記事を検索していたところ、人気ブロガーである池田信夫さんの過去の文章がヒットし…

ラディカルズ・フォー・キャピタリズム

アマゾンで購入したBraian Doherty のRadicals for Capitalismを読んでいる。読んでいるといってもペーパーバックで600ページを超えるような本なので、手元に置きながら拾い読みをしているといったほうが正しいだろう。本書はリバタリアン雑誌『リーズン』の…

ゲーテッド・コミュニティ: 新しいユートピア

LJPに書いた記事の転載。これも過去自分が書いたエントリを再構成した内容だ。この話題については昔から関心を持っている。最近言及することは少ないが、また機会を改めて関連する記事を書いてみたいと思う。近年、周囲を壁やフェンスで囲み、出入りを制限し…

これからの「家族」の話をしよう

「誰が得するんだよこの書評」というグログで、昨年東大の駒場祭で行われた一橋大学教授の森村進さんの講演内容がアップされている(「森村進教授の講演会 〈 こらからの「家族」の話をしよう 〉 がすごい件 part1」「同 part2」)。大変面白く読ませてもら…

リバタリアンの戦略論

デイヴィド・フリードマンの『自由のためのメカニズム』(原題:The Machinery of Freedom)は、言わずと知れたリバタリアニズム、アナルコ・キャピリズムを代表する1冊であり、20代で書かれたと思えないほどの完成度は驚異的だ。ぼく自身大きな影響を受けて…

無政府資本主義における共有財産について

今回も興味深い論文を紹介したい.通常,無政府資本主義では「"全ての"資産は私有財産である」と主張される.近年,この点を強く訴えている論者として,例えばハンス・ホップがあげられる.だが,ランダル・ホルコムは「無政府資本主義における共有財産(COM…

アナーキーと法

「政府は必要なのだろうか?(Is government necessary?)」.編者であるエドワード・ストリンガムによる前書きはこのような1文で始まる.ここからも想像されるように,本書は,リバタリアニズムの観点から「アナーキズム(無政府主義)」を論じた文献を1冊…

タイラー・コーエンとは何者なのか

ここ何回か経済学者のタイラー・コーエンに触れてきた.今回も,かれに関する興味深い記事があったので紹介しておきたい.ミーゼス研究所のデヴィッド・ゴードンによる「コクトパス 対 マレー・ロスバード」(Part1及びPart2).ここで「コクトパス(Kochtop…

わたしは自由を選んだ

以前言及した(「余は如何にしてリバタリアンとなりし乎」),ウォルター・ブロック編のリバタリアン自伝集が出版された.その名も『わたしは自由を選んだ(I CHOSE LIBERTY」)』.計82名のリバタリアンの短い自伝が収められている.なかにはゴードン・タロ…

協力の費用

以前タイラー・コーエンのアナルコ・キャピタリズム批判を取り上げた(「公共財としての法:アナーキーの経済学」及び「同左 若干の補足」).今回はもう少し広い文脈でかれがリバタリアニズムについてどのように考えているのか取り上げてみたい.参考となる…

権利と義務

香川大学教授、三原麗珠さんのサイトより(「学問の自由,表現の自由,セクシャル・ハラスメント規制,インターネット規制,大学」)。 ある人の権利は他人にそれを尊重する義務を課すのです.「権利は義務をともなう」というのは,「権利を得るためには(そ…

自由社会を防衛する

今回もLJPからの転載。無政府資本主義社会はどのように防衛されるのかについて、ローデリック・ロングの議論を紹介した。リバタリアン・アナーキストにとって「国防」は避けて通ることのできない問題だろう。というのも、一般的に「国防」は典型的な「公共財…

リバタリアニズムの古典 『アナーキー・国家・ユートピア』

今回も初出はLJP。「LJP秋の読書フェア」の一環として書いた。自分自身、以前はわりと無政府資本主義に好意的だったので、(最小)国家を擁護するノージックの立場はどことなく違和感があった。リバタリアニズムが言及される際、ノージックばかり取り上げら…

ハーバート・スペンサー:曲解された自由主義者

初出はLJP。今回のテーマはハーバート・スペンサーについて。スペンサーはいつか取り上げてみたいと思っていた。それが橘玲さんの新刊を読んだ際、世間の誤解と同じような記述を見つけたので、失礼ながら話の出だしとして使わせてもらったというわけだ。ぼく…

公立学校の真の役割とはなにか

例によってLJPのポストの再掲だ。読んだ人がどう思うかはわからないが、個人的にはなかなか気に入っているもののひとつ。議論自体はランダル・ホルコム「公共財理論の理論」内の公教育(Public Education)を論じた箇所に多くを負っている。教育(特に初等、…

自由の契約法理論

山田八千子『自由の契約法理論』を読んだ。著者の山田氏は中央大学法科大学院の教授で、森村進編著『リバタリアニズム読本』や同『リバタリアニズムの多面体』等にも寄稿されているリバタリアンな法学者として知られる。本書の内容を著書の言葉を借りて説明…

なぜわたしはアナルコ・キャピタリストではないのか(2)

今回もLJPからの転載。蔵さんのブログエントリに(失礼を承知で)若干批判めいたことを述べさせていただいたが、基本的には蔵さんの主張に同意していることを改めて明記させていただきたきたい。蔵さんが参考文献としてあげられていたジェフ・ハメルの論稿の…

なぜわたしはアナルコ・キャピタリストではないのか(1)

今回も初出はLJPだ。アナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)への全面的な批判と言うよりも、疑問点を提示することで議論の底上げを図れたらたという意図に基づくものだった。もしかしたら「内ゲバか!?」と思った方もいるかもしれない(笑)。LJPのメン…

無政府資本主義 対 制限された政府

以前も書いたように(「政府:不必要だが避けられないもの」)リバタリアニズム内の論争のひとつに「国家論」をめぐるものがある。すなわち、一定の役割に制限された政府を正当とみなす「制限された政府(limited government)論」とあくまでも国家の完全な…

政府:不必要だが避けられないもの

リバタリアニズム内の論争のひとつに、どのような国家までを正当とみなすのかというものがある。ひとつは現実政治にも大きな影響を与えたミルトン・フリードマンやフリードリッヒ・ハイエク等の一定の役割に「制限された政府(limited government」)を主張…

書評:プライベートピア

CIDと呼ばれるアメリカの私的な集合住宅の興隆を描いたエヴァン・マッケンジーの『プライベートピア』は、ぼくがブログのタイトルを借用してくるほど影響を受けた一冊だ。ただ、一口に影響と言っても、以前の記事(「プライベートピア」)でも書いている…

参院選雑感とみんなの党に思うこと

参院選が終わって1ヶ月たったこの時期にこうした話題を書くのもどうかと思ったが、とりあえずメモ代わりに。今回の選挙は久しぶり投票に行った。選挙権を得てから、国政、地方選挙合わせて3回くらいしか行ったことがなかった。なぜ投票に行かなかったという…

リバタリアニズムは「放蕩」を意味するか

これも初出はLJP。よくある誤解を解いておこうという意図のもとに書いた。なお、趣旨を明確にするため若干表現を修正させてもらった。リバタリアニズムは、必ずしも道徳的に優れていると思われているわけではない多くの行為(売買春、ギャンブル、ドラッグ使…

老人支配に抗して 

今回もLJPに書いた記事の転載。前回に引き続きなんかアジっぽいな。まあ日ごろの不満が爆発したということでご容赦を。次回からはもう少しクールに書くことにしよう。この記事を書いているのはちょうど参院選の選挙結果が出始めた時期だ。公開されるころには…

保守主義とリバタリアニズム 

以下の文章は「Libertarianism Japan Project」に「保守主義者よ、リバタリアンたれ」(6月28日付)というタイトルで書いたものだ。せっかくなのでこちらにも掲載させてもらうことにした。LJPはすでにいろいろな方がそれぞれ素晴らしいポストをされている。…

初ポスト 

「Libetarianism Japan Project」に初ポストさせてもらった。簡単な自己紹介といった感じだ。他のかたがたがすでに気合いの入った投稿をされている中では若干脱力系かもしれない。とはいえ出来るだけ長く続けることを目標にしているので、徐々にネジを巻いて…

リバタリアニズム・ジャパン・プロジェクト 

日本におけるリバタリアニズムのプレゼンスの向上を目指し、「Libertarianism Japan Project」というサイトが立ち上がりました。正式なスタートは7月1日を予定していますが、プレ企画として6月20日から日本のリバタリアン有志によるブログの更新が始まってい…

自由主義史観とは何か

今さらになるが、藤岡信勝『自由主義史観とは何か』を読んだ。最初に断わっておくと、ぼくは90年代から2000年代に盛りあがった歴史教科書問題に関して適切な評価をくだすほどの知識を持ち合わせていない。また、「新しい歴史教科書をつくる会」やその母体と…

デモクラシー原理主義

先日図書館からドラルド・ウィットマンの『デモクラシーの経済学』を借りてきた関係で、ブライアン・カプランの『選挙の経済学』を読み直してみた。『デモクラシーの経済学』が『選挙の経済学』のなかで論敵のひとつとされていたことを思い出したからだ。『…

チャールズ・マレーはゲットーに捕らわれている

以前トマス・ソーウェルについて書いた際に言及した(「黒いリバタリアン」)オンライン・マガジン『サロン』で面白い記事を見つけた。「チャールズ・マレーはゲットーに捕らわれている」。著者は不詳だが、内容はなかなか興味深い。ここで取り上げられてい…

余は如何にしてリバタリアンとなりし乎

ウォルター・ブロックが企画した著名リバタリアンの自伝集がステファン・キンセラのサイトでアーカイブされている。ブロックがこのような企画を思いついた理由のひとつは、マレー・ロスバードの死後、かれが自伝を残していなかったことにある種の後悔を感じ…

リバタリアン・ペーパーズ

『リバタリアン・ペーパーズ』というリバタリアニズムに関するオンラインの学術誌が創刊されていた。出版もとはミーゼス研究所で、ステファン・キンセラが編集を行っている。編集委員会(Editorial Board)のメンバーを眺めていたら、ホップとかブロックとい…

みんなの党

実は最近みんなの党の「ネット党員」に成った。みんなの党の党員資格は一般党員とネット党員にわかれている。両者の違いはピンバッジをもらえるかと広報誌を郵送かPDFファイルで送付するかの違いらしい。実質的には変わらないようなので、年間の党費が1,000…

自由主義の黄金時代

ジョン・グレイの『自由主義』。精力的な「グローバリズム」批判を行うなど近年はすっかり「変節」してしまったグレイだが、本書(原著は1986年、邦訳は1991年出版)は古典的自由主義を積極的に擁護している素晴らしい本だと思う。少し古い本になるが、おす…

リバタリアンな課税制度

リバタリアニズム、とくに無政府資本主義を除く何らかの「政府」の役割を是認するに立場にとって、「課税」の問題は避けて通ることが出来ない。できるだけ私有財産権を侵害しない形で政府の運営資金を調達しなければならないからだ。例えば徴税を「窃盗」や…

リバタリアンな相続制度

最近はツイッターに慣れてしまったため、ブログでまとまった文章を書けるか不安になってきた。しかしツイッターは面白いですね。そこでもつぶやいたことだが、今回は自己所有権テーゼに基づいて相続制度を否定、あるいは没収的相続税を提案する議論(例えば…

「社会民主主義者」としてのハイエク

フリードリッヒ・ハイエクが20世紀を代表する偉大な社会哲学者であることは言うまでもないだろう。ハイエクは自由主義の代表的な擁護者と見なされており、事実かれに対する批判の多くは「左」の論客によってなされてきた。しかし、数はそれほど多くないが、…

城壁住宅街と治安

アスキュー・デイヴィッド「城壁住宅街と治安―リバタリアニズムと治安の保障」。リバタリアニズムの研究者として著名なアスキューだが、近年は南京事件や日豪関係に関する論考が多く、本稿は久しぶりのリバタリアニズムの論文となる。タイトルからも推察され…

契約論的リバタリアニズム

先日研修の関係で東京に行く機会があったので母校に寄ってみた。あちこち工事をしていた。さすがに卒業して4年も経つと変化するものだ。せっかくなので、図書館でいくつか論文をコピーした。その中のひとつが森村進氏の論文「ジャン・ナーヴソンの契約論的リ…

ドラッグ合法化

typeAさんのブログで紹介されていたデイヴィッド・ボアズ編著『ドラッグ全面解禁論』を読んだ。編者のボアズはアメリカのリバタリアンなシンクタンクであるケイトー研究所の副所長を勤めている人物。『リバータリアニズム入門』の著者でもある。本書は「ドラ…

30人31脚

たまたま見つけたはてなブログの「クラス対抗30人31脚を即刻廃止すべきである6つの理由」というエントリが面白い。この「女教師ブログ」の作者がどういう人物は知らないが(本当に教師かどうかも不明)、なかなかよいことが書いてある。テレビ朝日主催の30人…

黒いリバタリアン

オンライン・マガジン『サロン』によるトマス・ソーウェルのインタビュー。ここでソーウェルは、自らを「保守主義者」というよりもしろ「リバタリアン」と形容したほうが適切だと述べている。ソーウェルはシカゴ大学で博士号を取得した経済学者(指導教授は…

連邦制、政治的無知、足による投票

森村進編著『リバタリアニズムの多面体』。本書は、2007年にポーランドで行われた第23回国際法哲学・社会哲学学会連合(IVR)で組織されたリバタリアニズムに関するスペシャル・ワークショップ(SW)での報告を基に出版されたものだ。出版の経緯は森村氏によ…