Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

ネット株の心理学

小幡績『ネット株の心理学』という本を読んだ。行動ファイナンスの立場から「デイトレーディング」を擁護している。株式は長期保有が望ましいという既存の資産運用の「常識」を真っ向から否定しており,なかなか刺激的かつ説得的だった。たしかに長期に保有していると予想外の変動リスクにさらされる確率が高くなるわけで,長くても1日,短い場合はわずか数秒しか保有しない「デイトレーディング」ならばそのようなリスクにさらされることもない。また、投資に当たっては他の投資家の心理を考慮に入れなければならないというのも納得できる。会社の規則がなければ明日にでも「デイトレーディング」を始めようと思ったくらいだ。

ただ,いくつか疑問がないわけでもない。例えば既存のファイナンス理論の立場によれば,最適な株式投資は「市場全体」に投資すること,つまりインデックスファンドを買って後は寝ていれば良いということになっているが(簡単に知りたい方は橘玲『臆病者の株入門』あるいはバートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』を参照されたい。),紙幅の都合もあってかその辺りが余り明快に整理されていない。まあ,それは新書版の本書には求めすぎなのかもしれない。 著者の小幡氏は,東大経済学部を主席で卒業後,大蔵省,ハーバードで博士号を取ったという秀才。現在は慶應のBSに勤務している。元官僚のわりには書き方が挑戦的で好感が持てた。おそらく講義も相当おもしろいのではないだろうか。新書ということもあり,通勤・通学の電車内でもサラっと読める。おすすめだ。