Shouting Fire in a Crowded Theater

日々のあれこれ

ジョン・ナッシュとゲーム理論

シルヴィア・ナサー『ビューティフル・マインド』は,非協力ゲームの創始者としてゲーム理論に多大な貢献をし,後にノーベル経済学賞を受賞した数学者,ジョン・ナッシュの半生を描いた作品だ。映画化もされている。ぼくは映画のほうを先に見たが,こちらはあまり感心しなかった。ゲーム理論のことを一般の人に説明してもわからないと思ったのだろう。内容はもっぱらナッシュの病気(精神分裂病,今でいう統合失調症)のことが中心で,ノーベル賞を受賞した偉い学者も幻覚や幻聴で大変だったというのが,映画を見た多くの人の受け止め方だったのではないだろうか。主演のラッセル・クロウの熱演でもっていたようなものだ。

最近原作を読んだが,こちらはさすがに学術的な面をしっかりおさえている。個人的には,フォン・ノイマンが文句なしの天才なのにたいし,ナッシュは鬼才,異才と呼ぶほうが合っている気がする。何よりも生産的な活動期間が短すぎた。もちろんどちらも凡人には及びもつかない存在だ。ナッシュは後年病気から奇跡的に回復しノーベル経済学賞を受賞するわけだが,直前までかれにノーベル賞をあたえるかでもめていたという。しかし,ゲーム理論を考えたときナッシュを外すわけにはいかないだろう。また、かれの息子も同じ病気で苦しんでいるそうだ。。やはり統合失調症は、遺伝的な要因が大きいのだろうか。何とか克服して欲しいものだ。なお,訳文にところどころ読みにくい箇所があった。例えば,ゲーム理論家ロバート・オーマンの業績で「常識」というのがあったが,おそくcommon knowledgeのことだろう。素直に「共有知識」と訳してかまわないと思う。

ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡

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