Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

もっとも美しい数学

夏の休暇中、こちらで紹介されていたトム・ジークフリード『もっとも美しい数学 ゲーム理論』を読んだ。現在のゲーム理論研究が生物学、人類学や物理学といった諸科学分野とどのようにつながるつつあるのかを各研究者へのインタビューを中心に描いていてなかなか面白かった。 ゲーム理論は最近またブームなのか書店に行くと関連本がかなり出版されている。しかし「仕事」にどういかすかという実利的な観点から書かれたものが多く、この本のように読み物として面白いものは少ないように思う。

個人的に興味深かった点は、近年隆盛を極める「進化心理学」的なアプローチに対する反論を紹介していることだ。著者によれば、世界各地で行われた「最後通牒ゲーム」の実験結果は文化圏によって大きく異なったものになったという。進化心理学の立場では、環境による違いが存在するとしても、人間には進化の過程で培われた普遍的な「人間性」が大きく存在するとされている。だが、実験結果からそれだけに収まりきらないような多様な「人間性」が観察されたというわけだ。

一時期進化心理学には興味を持っていた時期があったので、このあたりの指摘は新鮮だった。もちろん進化心理学全体の成果が否定されるとは思われないが、少なくとも(一部の)極端な立場は修正される必要があるということだろうか。

もっとも美しい数学 ゲーム理論

もっとも美しい数学 ゲーム理論