Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

老人支配に抗して 

今回もLJPに書いた記事の転載。前回に引き続きなんかアジっぽいな。まあ日ごろの不満が爆発したということでご容赦を。次回からはもう少しクールに書くことにしよう。

この記事を書いているのはちょうど参院選の選挙結果が出始めた時期だ。公開されるころには議席数も確定しているだろう。結果については改めて論評してみたいが、今回取り上げるのは「ワカモノ・マニフェスト」について。ワカモノ・マニフェストとは、世代間格差の克服と持続可能な社会を目指して作成された政策論集のことだ。マニフェストを策定している「ワカモノ・マニフェスト策定委員会」は、HPの説明によると、「2008年10月25日に開催されたシンポジウム、『世代間格差と若者政策』を期に、現役政治家、官僚、コンサルタント、研究者、NPO関係者らで結成された。若者マニフェスト策定員会は、若者目線による世代間格差の克服を目指して活動を行っている」という。メンバーには雇用問題について積極的にメディアで発言している城繁幸氏等の名前も見られる。

ぼく自身20代後半のサラリーマンなので、ここで想定されている若者と考えて差支えないだろう。その観点からかれらの主張を眺めてみた。活動としては今回の参院選における各党のマニフェストの評価も行っているが、ワカモノ・マニフェスト自体は昨年の衆院選時に発表されたワカモノ・マニフェスト2009に詳しい。以下はその要旨だ。

■ 労働・雇用
1 人材市場流動化のため、労働条件の不利益変更と解雇ルールの明文化
2 大手企業への非正規雇用労働者からの採用枠義務づけ
3 流動化前提での、同一労働同一賃金の法制化
4 雇用調整助成金の廃止
5 退職金優遇税制の廃止
6 全労働者対象の、再就職訓練と雇用保険のセット
■ 財政・社会保障
1 世代間公平に関する基本法を制定
2 社会保障の受益と負担の調整を担う独立機関の設置
3 受益水準やベース財源(公債除く)を政治が決定し、社会保障予算をハード化
4 世代間公平の観点から、社会保障に事前積立を導入
5 公債残高の対GDP比引き下げのため、消費税などを増税
■ 若者参画
1 ユース・デモクラシー政策を包括する若者参画基本法を制定
2 若者政策全般を確実に実現するための若者政策担当大臣を設置
3 16歳選挙権の実現と被選挙権年齢の成人年齢への引き下げ
4 参議院への世代別選挙区制度の導入
5 義務教育への政治教育の導入
■ 家族・教育・子育て
1 若者向け社会保護支出の対GDP比を引き上げ
2 給付つき税額控除などによって子育て世帯への再分配を強化
3 公教育の立て直し
4 仕事と育児の両立支援・ワークライフバランス施策の推進

まず、前提として若者と老人の世代間格差という問題意識は素直に評価できる。今の日本の政治課題が「右翼」と「左翼」というイデオロギー対立というよりも「老人」と「若者」という世代間の対立にあることは、常日頃ぼくも感じているところだ。例えば、強い解雇規制によって雇用調整を新卒採用数の増減でしか行うことができない今の労働市場の現状は、中高年の雇用を維持するために若者を犠牲にすることと同義であり、到底許されるものではない。財政・社会保障の世代間格差(1億円!)にいたってはほとんど詐欺だろう。

いっぽうそのような問題意識のもとに提言されている政策はよく言えば穏健、はっきり言うと中途半端な形に留まっており、強い不満を覚える。すべての政策を取り上げる紙幅はないので、いくつかに絞ってコメントしてみたい。労働分野で言えば、解雇ルールの明文化はいいとして、非正規労働者の採用義務付けや、同一労働同一賃金の法制化等かえって企業活動に対する政府の統制を強めるような項目も目立つ。そもそも同一労働同一賃金というのは意味がよくからない。世の中に全く同一の「労働」というのは存在しないからだ。必要なのは労働市場に対する規制の撤廃であり、賃金は個々の企業や労働者が勝手に決めればよいことだ。

社会保障に関して言えば、世代間公平に関する基本法の制定、社会保障予算のハード化等興味深い提言もされている。しかし、根本的な部分で、このブログで他の論者も述べているように消費税増税という選択肢はあり得ない。必要なのは社会保障の給付水準の大幅な引き下げもしくは完全な民営化、政府の社会保障分野からの撤退だからだ。われわれは見も知らないは老人の年金や医療費を払うために働いているわけではない。子育て世代への再分配強化という文言も見受けられるが、求められているのは分配先の「変更」ではなく、強制的な再分配政策の大幅な縮小だということは繰り返し強調しておきたい。

以上の議論からわかるとおり、若者がこれ以上老人たちに搾取されないようにするためには、徹底的な政府支出の削減、規制撤廃による「小さな政府」の実現しかない。つまり、若者はリバタリアンになるしかないということだ。若者よ、われわれと共に闘おう。