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日々のあれこれ

経済学で現代社会を読む

昔、「Libertarianisim@Japan」でも紹介されていたロジャー・ミラー他『経済学で現代社会を読む』の改訂新版が出版された。改訂にあたりいくつか新しい章が追加されている。特に「20 住宅ローン溶解」と「22 銀行預金でギャンブル?」が興味深い。著者たちも序文で述べているように、2007年〜2009年にかけての住宅ローン市場の溶解を発端とする信用危機と景気後退に焦点を当てているからだ。「住宅ローン溶解」では、アメリカの住宅市場崩壊の要因が「サブプライムローン」の存在自体にあるのではなく、「信用のない」人間でもローンの借り入れが可能となるために行われた「政府の介入」にあることが明確に指摘されている。また「銀行預金とギャンブル?」では、2008年に実施された預金保険の上限引き上げが、短期的には金融システムの信任強化に役立つかもしれないが、長期的には逆選択とモラルハザードを助長し、経済に悪影響を与えるだろうことが的確に予測されている。

結局のところ、政府の市場介入は「短期的」には何らかの意図を達成できるかもしれないが、「長期的」にはほとんどすべてのケースにおいて望ましくない帰結をもたらすということだ。これが標準的な経済学の考え方だろう。とかく「市場の失敗」を騒ぎ立てる傾向が強い日本の経済学者にもぜひ見習って欲しい姿勢だと思う。

経済学で現代社会を読む 改訂新版

経済学で現代社会を読む 改訂新版

  • 作者: ロジャーミラー,ダニエルベンジャミン,ダグラスノース,赤羽隆夫
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/07/24
  • メディア: 単行本
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