Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

法によらない秩序

おなじみ過去に書いた文章の再掲シリーズ。2006年1月。 

ブライアン・カプランによるロバート・エリクソン『法によらない秩序』の紹介。非常におもしろそうだ。多くのリバタリアンが立法行為によらない法のあり方を研究しているが、エリクソンは秩序にとっては法でさえ不必要だと主張する。法の主要な機能である紛争解決、ルール形成、執行はインフォーマルな規範によって代替可能だし、現にそうなっているためだ。 

興味深いのは,取引費用が高い場合でも法が利用されることはほとんどないという指摘だろう。一般的な法と経済学の教えでは、取引費用が低い場合は当事者の交渉に任せるべきだが、高い場合は、政府が適切な法を選択することによって解決すべきだとされる。しかし,エリクソンによれば、法の学習や適用自体に費用がかるので、そしてそれは取引費用が高いということだが、結局人々は政府の仲裁ではなく相互の交渉を通じて紛争を解決している。

たしかに自分の日常生活を振り返っても法によって秩序が保たれているという実感はあまりない。エリクソン自身はリバタリアン(古典的自由主義者)ではないらしいが、本書はリバタリアニズムに大きな示唆を与えてくれるだろうとカプランは結んでいる。なお、2012年6月時点でも邦訳は依然ないようだ。