Shouting Fire in a Crowded Theater

30代・独身・リーマンの視点

市場と生活の質: ランダル・ホルコムへのインタビュー

『オーストリアン・エコノミクス・ニューズレター』というミーゼス研究所が発行していたインタビュー誌に掲載されたフロリダ州立大学経済学教授ランダル・ホルコムのインタビュー記事(「市場と生活の質:ランダル・ホルコムへのインタビュー」)。1998年と少し古いが、かれの考えの全体像を知ることができ、非常に興味深い。この日本ではまだ余り取り上げられることが少ないリバタリアン経済学者については、過去に何度か言及してきた。合わせて参照してほしい。

今回のインタビューでは、まずかれの専門の1つである都市計画の話から、政府による中央計画よりも自由市場における相互作用がいかに人々の「生活の質(Quality of Life)」を高めているかが説き明かされる。ぼくが長い間関心を持ち続けているCIDにおける「制限約款(restrictive covenants)」にも触れられている(「書評:集合住宅デモラクシー」)。 

続いて、「公共財理論(public goods theory)」という、この極めていかがわしい主流派経済学の考えに焦点が当てられる。ホルコムは、「公共財」の定義にピッタリあてはまる例としてコンピュータ・ソフトウェアをあげ、にもかかわらず市場がソフトウェアがうまく供給していることを皮肉を込めて指摘している。また公共財の代表例として語られることが多い「国防」。しかし、ホルコムによれば防衛の対象となる人の数が増えるほど、国防支出額は明らかに増加する傾向にある。これは公共財理論の考えと矛盾しているにもかかわらずだ。かれは、このような欠陥だらけの考えが生き残っていることがほうが驚きだと断言している。 

また民主制(democracy)と自由の問題についても議論されている。ホルコムは、アメリカ合衆国が建国されたとき、アメリカ政府の根本的な理念は「自由」だったにもかかわらず、今日多くの人々がそれを民主制と考えるようになったことに警鐘を鳴らしている。「デモクラシーの隆盛と自由の衰退には関係がある。デモクラシーは、今日われわれが理解している通り、自由と対極にあるものである」。関心を持たれた方はぜひ原文を読んでみてほしい。